雪道を走る配達バイクにスノータイヤ、チェーンは装着してはいけない。

冬の季節になると都市部でも数回積もる雪。
2輪でもオフロードタイヤを履いてパワフルに走る映像もあるが
基本的に雪の2輪走行は危ない。
乗った事がある人は身をもって体感してると思う。

しかし3輪バイクとなると安定しているから走れる!と思われる事が多々ある。
メーカーもスタッドレスタイヤ等を用意し、社外メーカーからはチェーンも売られている。
でもそんなのはまったく意味がない。
配達バイクにスタッドレスタイヤやチェーンを何故装着してはいけないのかを説明。

目次

北海道の雪道を走る郵政カブ

まずはこの動画を見て欲しい。
北海道の郵便配達員の雪道走行技術
これは北海道の道路を走る郵政カブ。
路面には雪がうっすらと積もっている状況で乗っている人間は両足を出している。
みてわかる通りかなり慎重に運転している。
使っているのはシフトダウンによるエンジンブレーキのみ。
ほんのわずかなブレーキは右足を地面に押し付けて調整している。
両足を出してバランスを取っている様に見えるが、実際は転倒時の支え。
こんな少しの雪だけで、しかも直進運転でこれだけの神経を使う。
あなた、もしくはあなたのお店の配達ドライバーにこの運転技術があるだろうか?

デリバリーバイクのスタッドレスの性能は?

2輪、3輪共にラインナップしているのはIRC。
3輪ではユナリや海外メーカーがスタッドレスタイヤを販売している。
一応どれも装着した事はあるが体感的に海外製は1シーズンで終了。
IRCはギリギリ2シーズンいけるかな?ぐらいの耐久度だった。(月/3000km走行)
値段は結構高めで、基本的に受注生産になるのであまり本数は出回らない。
生産が9月頃に始まるので10月には探しておかないと在庫が無くなるか、とんでもない値段で買う事になる。

2輪のスタッドレスの性能

2輪のスタッドレスタイヤの性能はあまり期待しない方がいい。
そもそも車重量が無いので雪を砕く性能が無く、溝を深くする事によって雪を食わせる仕様になっている。
当然ノーマルタイヤよりは若干グリップがいいかもしれないが費用対効果はかなり厳しい。
タイヤ代は前後で15,000円程、工賃は安くても前後で4,000円はする。
毎年シーズン毎に変える度に1台4,000円。
(ちなみに一度外したタイヤの再利用はご法度と言われるがそういうの無視した前提)
4,000円で雪道走れるならいいじゃん!
と思うかも知れませんが、まったく走れません。
まず運転するのに練習が必要、そして転倒時ミラーは確実に折れる。
なにより、事故率が跳ね上がる為絶対におススメはしません。
それでも乗る場合の必殺技として、空気圧を低くして走行する事。
設置面積が増えて安定はします、実際にオフロードバイクだとそうです。
ただチューブレスタイヤでやる場合はパンクの可能性が跳ね上がるので気を付けてください。
カブなら結構みんなやってるかも?

3輪のスタッドレスの性能

2輪よりも3輪のスタッドレスの方が買わない方がいいです。
2輪の場合は運転技術や危険を無視すれば、オラオラ走れます。
でも3輪の場合は車重量が重いのとパワー不足で、前に進みません。
自分が遭遇した事例は、1cm程度の積雪で幹線道路からロードサイドの店舗に入る際の段差が乗り越えられませんでした。
また、同様のケースでジャイロキャノピーを使用していたデリバリー店では
段差を乗り越えようとして無理やりエンジンを吹かし空転状態を持続した結果、ケース内のアルミプーリーが溶けて飛び散り、最終的に廃車になりました。

その他にも雪道転倒でルーフが割れて10万円の修理費がかかったり。
止まれなくて車に突っ込んだりと色んなパターンを見てきました。
まったくオススメしません。

雪道でのチェーンはどうなの?

チェーンも基本的にはオススメしませんが、雪国では郵政がカブに使用しています。
2輪の場合はリアタイヤに装着してオラオラ走るイメージですが、日常的に積雪があって運転者も慣れている雪国だから採用してるだけであって、年に数回しか降らない東京等の都心部で使うのはオススメしないです。
また、三輪に関しても上記のスノータイヤの説明でわかる通りパワーが無いのでチェーンを装着しても同じ結果です。
唯一例外を言えば、今はもうあまり走っていない2stの3輪にチェーンをしてオラオラ走る方法です。
2stでパワーが段違いです。
実際に長野の山間部に納車した事があり、走ってるのを知っています。
むしろそれ以外のバイクでは配達が出来ないとも言ってました。
まぁ普通に車で配達すれば良いだけなんですが・・・。

雪国ご用達、スパイクタイヤ!

スパイクタイヤは基本的に公道で走ることは禁止されているんですが、雪国に行くと結構履いているスクーターは多いです。
むしろ、雪国の人はこれがないと走れねぇぐらいに思ってるぐらい。
チェーンみたいに滑る事もなく、アイスバーンもザクザク走れる。
ラインナップはかなり少ないので普通の50ccかカブとかに履かせる感じですね。

じゃあなんでスタッドレスタイヤなんて履くのさ?

これは結構自分の中でも謎で、なんでこんな意味のない物に費用を使うんだろうとずっと思っていました。
スタッドレスタイヤを採用する前とした後で事故率が変わった、という話しを聞いた事も無いです。
ただ、最近になってようやくデリバリー業界も気づき始めたのか、来店が増えたからなのか
雪の日はバイクを使わず歩いて行ける距離での配達に縮小する様にもなってきました。
事故とか修理費とか保険料とか考えたらそっちの方が安いです。

それでも雪の日に対応する為にはスタッドレスタイヤが必要なのでしょう。
雪が積もる中、スタッドレスタイヤで走行して事故を起こすならまだいいですが
ノーマルタイヤで走行して人身事故を起こしたらと考えると装着する流れも理解は出来ます。

【まとめ】それでも雪道走行をする場合の注意点

まず雪道でのブレーキはご法度。
特にフロントブレーキは絶対に使えない、使ったら最後フロントが滑り車体は倒れどこまでも滑っていく。
これは直進状態でも同様なので基本的にフロントブレーキは一回も使えない。
そしてリアブレーキも基本的に止まる為には使えない。
雪道の場合のリアブレーキはセンサーの役目。
直線状態で安全を確認した上で、ほんの少しだけリアブレーキを踏んで現状のグリップ力を把握する為に使う。
また、緊急時に止まる場合は必ずリアブレーキで停止する。
使えるのはエンジンブレーキのみ。
それもなるべく回転を合わせ最小にしながら。
でも一番はとにかく練習する事。
走って転んでを何回もやれば体で覚えるはず。
まぁその頃にはバイクも体もボロボロになってると思いますけども。

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